自然の造形というのはどうしてこうも見事なのだろうか。
霧のような雨が肌寒い日だったが、それでも夏の気配をそこかしこに感じた。
森林(やま)では、クサノオウのレモン色の花やジュウニヒトエの薄紫色の花が咲き、田では植えられて間もない早苗がなびき、畑ではリンゴの摘果作業が進められていた。
一週間ほど前の、そんな川場村で目にした自然の造形を写真におさめてみた。
上等の羽根飾りの間に、霧雨が点々と真珠の粒のように光っている。
誰が、何をイメージしてデザインしたのだろうか。
しばらくの間、目を奪われた。
この存在の正体がわかるだろうか。
以前、秋雨の時期に出逢ったチカラシバの穂とも通じるものがある。
けれど、今回目にしたものは植物ではない。
正体は、通称“クマケムシ”などと呼ばれる毛虫なのだ。
毛虫というだけに毛嫌いする人も少なくないだろうが、じっくり見ると、これほどまでに美しい。
クマケムシはヒトリガというグループの蛾の幼虫なのだが、太めの体躯に褐色の長い毛をもつものが多く、こうした愛称が定着している。
下の写真が、その全体像だ。
彼らもまた、森林(やま)づくりの仲間である。
先入観で忌み嫌わず、じっくりと見てみてほしい。
(2011/06/01 後山)